冷蔵庫は重たいから倒れないと思われがちですが、実は冷蔵庫の下には移動用のキャスターがついているので容易に動き、転倒の可能性も十分にあります。
冷蔵庫が倒れると、下敷きになりけがを負う危険性があることはもちろん、在宅避難の際にも貴重な食料や保冷器具を失うことになり非常に危険です。
この記事では賃貸でもできる転倒防止対策として、壁に穴を開けずに冷蔵庫を固定する方法をご紹介します。
冷蔵庫の転倒防止グッズを選ぶ3つのポイント
・冷蔵庫の仕様に合う転倒防止グッズを選ぶ
・実験等で効果を検証されたグッズを選ぶ
容量や重さに合う転倒防止グッズを選ぶ
冷蔵庫の容量は各家庭によって様々です。
100L程度の小型冷蔵庫と350Lのファミリータイプの冷蔵庫では『重さ』が異なるので自宅の冷蔵庫の重さに対応できているかを確認する必要があります。
自宅の冷蔵庫の型番から冷蔵庫の容量や重さを確認しておきましょう
冷蔵庫の仕様に合う転倒防止グッズを選ぶ
冷蔵庫の転倒防止策を行うためには、冷蔵庫に合った転倒防止グッズを使用する必要があります。
同じ冷蔵庫でも上部が平らであるか、なにかパーツが付いているかで使える耐震グッズは異なります。
また、家具や家電の転倒防止といえば壁にぴったりとくっつけて金具で固定することが一般的ですが、冷蔵庫の場合は熱を放射するために壁から少し離して設置されている場合がほとんどです。
そのため、万能と言われる転倒防止グッズでも冷蔵庫には使えないものがいくつか存在します。
お金をかけて間違ったグッズで対策しても効果を得られないので注意が必要です
実験等で効果を検証されたグッズを選ぶ
転倒防止グッズをうたっている商品でも、中には実際の効果が不透明な商品も存在します。
安心して購入でいるポイントとして、公式のウェブサイトなどで実際に実験を行っている様子を公開していたり、実際に起った地震に似ている環境で実験済みと書かれている商品を選ぶようにしましょう。
冷蔵庫で使えない代表的な転倒防止グッズ
主に冷蔵庫には使えないとされる転倒防止グッズは以下の2つです。
・家具転倒防止板
L型金具
耐震効果が一番見込まれるL型金具は、壁と家具や家電がぴったりくっついた状態でないと使用することができません。
冷蔵庫を冷やすためには熱を逃がすスペースが必要です。
冷蔵庫の後ろから熱を逃がす仕組みになっていることが多いため、L型金具で冷蔵庫を固定することは難しいです。
壁にぴったりとくっつき、穴をあけられる家具類にはおすすめです
家具転倒防止板
家具転倒防止板は家具の下にしくだけで家具の重心を壁側にすることができ、手軽に耐震対策ができるということで賃貸の方にも人気な耐震グッズです。
しかし冷蔵庫の場合は移動するためのキャスターが付いており、転倒防止板が使えない『脚付き家具(家電)』にあたります。
代表的な家具転倒防止板である『ふんばる君』のメーカーであるニトムズさんにも使用不可なことを確認済です。
脚付きではなく、全面的に床とぴったりとくっついている家具にはおすすめですよ
賃貸でも使えるおすすめの冷蔵庫の耐震グッズ
冷蔵庫で使用する転倒防止グッズは、冷蔵庫のメーカーが推奨している『ベルト』が基本です。
わが家で使用しているシャープの冷蔵庫にも、メーカー公式の転倒防止ベルトが販売されています。
東京消防庁もベルトで固定することを推奨しています。
しかし、ベルトを冷蔵庫に固定するためには壁に穴を開けてネジで固定しなくてはなりません。
ここではメーカー公式の耐震ベルト以外で、賃貸でも使える冷蔵庫の耐震グッズだけを厳選しました。
サンワダイレクト 冷蔵庫 地震対策ストッパー 200-QL009
賃貸の冷蔵庫の転倒防止策として、一般的なグッズが『粘着式ベルト』の耐震グッズです。
通常のベルトは、壁にネジで留めたベルトを冷蔵庫に通して固定する必要がありますが、賃貸の場合は壁にネジ止めをすることが難しくなります。
そこで代わりになるのが『粘着式のベルト型冷蔵庫ストッパー』です。
サンワダイレクトの地震対策ストッパーは壁と冷蔵庫の両端を強力な粘着テープで接着するので、壁に穴をあける必要がありません。
突っ張り棒では対策が難しい小型の冷蔵庫を使用する家庭でも、有効な方法です。
耐震度としては震度6強まで対応しています。
取り外しの際には専用工具が必要
サンワダイレクトの地震対策ストッパーは非常に強力な粘着テープを使用しているため、そのまま剥がすと壁紙を痛める可能性が高いです。
模様替えや引っ越しなどで剥がす必要が出てきた場合には、専用工具を使用して丁寧に剥がすようにしましょう。
アイリスオーヤマ 家具転倒防止伸縮棒
突っ張り棒タイプの転倒防止グッズは壁に傷を付けないことはもちろん、設置面も傷を付けにくい発泡ポリエチレンで出来ているので誰もが取り入れやすい耐震グッズです。
アイリスオーヤマの家具転倒防止伸縮棒なら実際に東日本大震災で耐えた実績があります。
しかし、小型冷蔵庫のように天井との距離がある場合は効果が薄れてしまうので冷蔵庫の高さが低い場合には突っ張り棒はおすすめができません。
大型冷蔵庫のように、天井と冷蔵庫との空きが比較的少ない場合に使用するようにしましょう。
食器棚や本棚といった背の高い家具の転倒防止策にもおすすめです。
突っ張り棒は耐震マットと併用することが大切
手軽に取り付けられる突っ張り棒ですが、残念ながら単独の状態では高い耐震効果が見込めません。
一般的に突っ張り棒は横揺れに強くないとされています。
突っ張り棒を単独で使うのではなく、耐震マットといった他の耐震グッズを組み合わせることで高い効果を発揮することができます。
冷蔵庫用のマットはへこみ防止のものがほとんどなので耐震用として売られているものはあまりありません。賃貸の条件によって壁に貼るのもという方にはできる対策の1つとしてご紹介します
不二ラテックス スーパー不動王ホールド
冷蔵庫の上の部分が平らであり、冷蔵庫と壁の隙間が9cm以下なら、粘着式グッズのスーパー不動王ホールドも使用が可能です。
不動王シリーズは振動に耐える耐震グッズではなく、地震波を吸収する器具なの家具も壁紙に掛かる負荷を軽減してくれます。
また、震度7まで対応しており、阪神淡路大震災の再現波で転倒防止効果が確認されていることで安心度が高いです。
UR都市機構技術研究所にて、三次元方向の実験により 神戸波(阪神淡路大震災の再現波)震度7の地震動に対し移動、転倒防止効果を確認しております。(出典:ジェコム株式会社)
もし、壁紙の粘着が心配という方は購入前に以下のような壁面パッチテストを行ってください。
突っ張り棒やベルトよりもお値段がしますが、冷蔵庫に粘着する必要がなく剥がす際にも剥離道具が不要なので賃貸でも手軽に設置ができます
賃貸でも使える冷蔵庫の家具転倒防止グッズのまとめ
耐震対策と言うと壁に穴をあけるイメージが大きいですが、実際にはネジで穴を開けなくても冷蔵庫の転倒防止は可能です。
冷蔵庫が倒れるということは身が危険なだけでなく、被災中に貴重な食料や保冷庫自体を失うことにも繋がるので賃貸でもできる限りの対策をしましょう。