万人におすすめな防災セットが高齢者にもおすすめだとは限りません。
高齢者の防災セットは「重さ」や「運びやすさ」といった年齢や体力を考慮した防災セット選びが重要となってきます。
この記事では一人暮らしの高齢者に本当に必要な防災グッズ(避難グッズ)のリストについて解説します。
心配で詰め込みすぎた結果、重くて自分で持ち運べないということだけは避けなければなりません
高齢者が避難するべきタイミングはいつ?
2021年5月、避難情報が改定されたのをご存知でしょうか。
それまで使用されていた「避難勧告」が廃止となり「避難指示」に一本化されました。
以前は避難勧告と避難指示の違いがわかりにくいという声が非常に多かったですね
一般的には警戒レベル4「避難指示」で必ず全員が避難をするべきというべきタイミングですが、妊婦さんや乳幼児がいる家庭、高齢者の方は避難に時間がかかることが想定されるため、1段階早い警戒レベル3「高齢者等避難」にて避難が必要です。
警戒レベル3になってから慌てて準備をするのではなく、警戒レベル1〜2の時点でいつでも避難できるように予めの準備、もしくは早めの避難をしておくと、余裕を持った安全な避難に繋がります。
高齢者に必要な防災グッズリストの一覧
防災グッズ | 持ち歩き用(防災ポーチ) | 持ち出し用(防災リュック) | 自宅用(備蓄) |
防災リュック | ● | ||
ポーチ | ● | ||
持病の薬 | ● | ● | |
お薬手帳 | ● | ||
老眼鏡・メガネ | ● | ● | |
成人用おむつ(簡易トイレ) | ● | ● | ● |
歯みがきシート | ● | ● | |
入れ歯洗浄シート | ● | ● | |
非常食 | ● | ● | |
折りたたみの式の杖 | ● |
ここにあげたのは高齢者特有の防災グッズのため、別途全員に共通する最低限の防災グッズも一緒に備える必要があります。
▶年齢や性別を問わず、全員共通の防災グッズリスト一覧はこちら
高齢者に本当に必要な防災グッズのリストの解説と選び方
高齢者に必要な防災グッズの選び方を1つ1つ解説していきます。
防災リュック
防災リュックを選ぶポイント
・運びやすいこと
・反射材がついていること
・撥水性(防水性)の素材であること
・疲れにくい仕様になっていること
通常、避難時には両手が自由になるリュックタイプを備えることが防災リュック選び基本ですが、高齢者の場合は体力が低下していて、足腰が弱くなっている場合も多いです。
旅行で使うようなキャリーケースや買い物で使うカートで代用しようと試みる方もいますが、災害時にはいつもの道も破損していたり水没していて通れなくなる可能性もあります。
そのため、キャリー式で転がせる上、緊急時には背負えるようなリュック式にも対応している「キャリー対応の防災リュック」を備えましょう。
今は体が元気な方でも先々はどうしても足腰が弱る時期が訪れます。
「キャリー対応の防災リュック」であれば余裕のある避難の場合には転がすことができ、いざという緊急事態には背負って歩けるというようにどんな状況でも対応できます。
義両親も2年ほど前までは元気に階段を登っていましたが、今では膝の痛みで移動がつらそうなので体の変化は急に訪れるんだなと実感しています。
防災ポーチ
普段から当たり前のように持ち歩くために、軽くて中身が見えやすいもの
防災リュックとは別に、日常的に持ち歩く防災ポーチ(お役立ちポーチ)をぜひ作りましょう。
普段の飲み薬やお薬手帳といった欠かすと困るものを防災ポーチに入れて普段から持ち歩くようにすると、「外出先での災害」に落ち着いて対応できます。
先程の防災グッズリストのうち、持ち歩きに●印がついているものは普段から持ち歩くべき防災グッズです。
下記の女性向けの防災ポーチの作り方とあわせて、防災ポーチの作成にトライしてみてください。
持病の薬・普段から飲んでいる薬
服用しないと生活に支障をきたすような重要度の高いものは、常に1日〜2日分程を防災ポーチに、残りを防災リュックにそれぞれ備えましょう。
災害時には命の危険がある人が優先的に救助されるため、持病の薬といったものはどうしても手に入りづらいです。
外出先で災害にあい、身動きが取れなくなった場合や、自宅からの避難で薬とを持ち出しそこねたという危険を回避するためにも防災ポーチと防災セットの両方に薬をいれておくことは欠かせません。
少し手間な部分はありますが、新しく薬をもらった際に防災ポーチやリュックにいれている古い薬から消費するようにするのがポイントです。
日常的に防災リュックに触れなければならないため、必然的に防災リュックを自宅のわかりやすい置けますし、防災がより身近に、日常的にする環境作りができます。
複数の薬が処方されている場合は、バラバラにならないように1つの袋(ジップ袋が便利)にまとめるようにすると、持ち出し忘れ防止にもつながるのでおすすめですよ。
おくすり手帳
薬と同様、常に持ち歩く
おくすり手帳は高齢者に限らずに、全員が普段から必ず持ち歩くべきものです。
万が一、災害発生時に薬が必要になってもおくすり手帳さえあれば、医師が薬を処方することが可能です。
しかしながら、薬の名前もわからず、おくすり手帳もなければだれもあなたに必要な薬を処方できません。
最悪、命に直結する場合もあります
おくすり手帳は、必要な薬を処方するだけでなく、副作用の危険性や飲み合わせに注意するべき薬を避けてもらえます。
現在はおくすり手帳のアプリも幅広く使われるようになってきたので、アプリを活用してみるのもおすすめです。
老眼鏡・メガネ
日常で使用しているものとは別に予備を備える
枕元にメガネを置いているから夜中の災害でも大丈夫だと安心してしまう方もいるのですが、災害時の揺れで枕元に置いてあったメガネを紛失する可能性があります。
メガネが手元になく、目が見えづらい状況になると避難行動や避難生活に安全性が欠けて非常に危険です。
防災セットには普段使いの老眼鏡(メガネ)とは別に必ず予備を1本備えましょう。
私も普段はメガネとコンタクトを使用しているので、普段使いのメガネとは別に古いメガネを防災リュックに入れっぱなしにしてあります
成人用おむつ(簡易トイレ)
普段使っていなくてもできるだけ備える
災害が起こると誰しもが大きなストレスやショックを受けますので、普段は問題がなくても排世のコントロールが効かなくなる場合を想定しなくてはなりません。
成人用おむつは、普段使っていない方にとっても高齢者には必須の防災グッズといえるのですが、どうしても抵抗がある方もいるかもしれません。
その場合は代わりの備えとして簡易トイレでも問題ありません。
簡易トイレがあればその場で用を足せるので、成人用おむつよりも便利だと感じる方もいます。
防災リュックに1〜2日分(10回程度)を入れておくと安心ですよ
すでに簡易トイレは備えてあるという方は「防臭性」の機能を必ずチェックしてみてください。
特に100均で購入できるような簡易トイレは防臭できる袋が付属しておらず、臭いが漏れてしまう商品も多いです。
防臭性がなさそうな商品でしたら赤ちゃんのおむつが臭わないことで有名な「BOSの防臭袋」を一緒に備えることをおすすめします。
歯みがきシート
歯ブラシではなくシートタイプを備える
防災セットには歯ブラシや歯磨きセットをという意見が多くきかれますが、災害時には水はとても貴重で手に入りづらい場合があります。
貴重な水を飲水ではなく歯磨きで消費してしまうのはとてももったいないです。
防災リュックに入れるのは歯ブラシではなく、水を消費せずに歯磨きができるシートタイプを選んでください。
歯磨きを怠ると、口腔衛生が悪くなり、細菌が肺にまで流れ込んで肺炎を発症させることがあります。
特に高齢者は免疫力や抵抗力が低く、口内炎や歯肉炎になるリスクも高いです。
被災中も歯磨きを怠らず、災害関連の病気を防ぎましょう!
入れ歯洗浄シート
入れ歯の洗浄剤ではなく洗浄シートを備える
入れ歯の洗浄といえば水にタブレットを入れて入れ歯をつけ置きするのが主流ですが、歯磨きシートと同様に水を消費しないシートタイプを選びましょう。
入れ歯をされている方は入れ歯ケア用品を忘れないようにしましょう
非常食
普段から食べているような日常に近い味を備える
わが家の両親や義父母もそうなのですが、高齢者の方は新しい味や変わった味を好まない場合があります。
非常食の備え方の基本は「いつもの味」であることは年齢や性別に関わらず当てはまりますが、災害時にすべてを普段通りの食事を賄うことはどうしても難しいです。
和食であったり、普段から缶詰めの食品を取るようにして非常時の食に対するストレスを減らせるように考えてみましょう。
一部、高齢者の方にもぜひおすすめしたい非常食もご紹介します。
井村屋えいようかん
高齢者の方はようかんを食べ慣れている方も多いのではないのでしょうか。
井村屋のえいようかんは少量でもカロリーが高く、食欲がない場合にもエネルギー補給として有効です。
手を汚さずに食べられますし、5年保存が可能です。
防災ポーチにの隙間にひょいっと入れられるサイズ感なので、私は持ち歩いています。
グリコ ビスコ
圧倒的な知名度を誇る昔ながらのお菓子「ビスコ」は、だれもが子供の頃によく食べたのではないでしょうか。
どこか懐かしいクリームサンドクッキーはいつ食べてもほっとする味ですよね。
ビスコは、小さな子供がいる家庭から高齢者まで幅広くおすすめできる非常食お菓子です。
折りたたみ式の杖
自分に合ったものを備える
普段から杖を使っている方にとって、杖は避難時や避難所での生活にも欠かせません。
普段、杖を玄関に置いている方も多いと思いますが、防災セットも玄関に置いてある方は2つの杖を玄関に備えることになるので、この場合は防災リュックに杖を入れなくても問題ありません。
しかし、防災リュックを玄関から離れた場所に用意しておく場合には折りたたみ式の杖を常備しておくと安心です。
高齢者の方におすすめな防災セットとは?
高齢者の方が防災セットを選ぶときのポイントとして次の3点を重要視しましょう。
・最低限の防災グッズが入っていること
・高齢者用のグッズを追加で入れられること
防災リュックの部分でお伝えしたことの繰り返しになりますが、高齢者の方が選ぶべき防災リュックは「キャリー付きで転がせること」が最重要ポイントになります。
今は元気だから背負う自信がある方でも、1年後、2年後と年々体力が衰えていくことを見据えるべきです。
「キャリー」という保険をかけておくだけで災害時に背負えなくて運べなかったという事態を避けられます。
キャリー付きで十分な防災グッズがセットになっており、追加でグッズを入れられる防災セットはただ1つあります。
それが『ものすごい防災セットプレミアム』です!
ものすごい防災セット プレミアム
ものすごい防災セットプレミアムを販売している「LAPITA(ラピタ)」は多くの企業や宮内庁、警察にも納品実績が豊富なトップ防災メーカーさんです。
ちなみに私自信が備えている防災セット『SHELTER(シェルター)』もラピタさんイチオシのコスパが高い製品です。
そんなトップメーカーさんが開発した『ものすごい防災セットプレミアム』は体力のない女性や高齢者でも難なく運べるように開発されました。
一番の特徴として「持つ・背負う・転がす」の3つの運び方ができる3wayバッグという点があげられます。
キャリーの使う用途は様々で、急いで避難をしなければならないときにはもちろん、避難所に行かずに済んだ場合にも給水所から水を運ぶために活用できたりもするので無駄になりません。
必要最低限の防災グッズが予めセットになっていますが、容量が27Lあるので自分が必要な物を追加しても一人暮らしの高齢者にとって十分な大きさです。
シンプルなデザインで評判もよく、カラーは赤と黒の2種類から選べますよ。
高齢者の防災グッズリストのまとめ
災害後、テレビで避難所の様子が映し出されると目立つのが、身寄りがなく行政の対応を待っている高齢者の方々です。
高齢者の方々1人1人が防災に意識を向けることが最も大切なことですが、やはり周囲からの働きかけが欠かせません。
身近に高齢者がいる方や自分の親や親戚が高齢者の方は9月の「敬老の日 」・11月の「勤労感謝の日」といった記念日や「お盆」・「お正月」といった身内が多く集まるときをきっかけに防災グッズをプレゼントしてみてはいかがでしょうか。
自分で買うのは躊躇されている方でも、実際にプレゼントとしてもらうと意識が改善されたりしますよ。
ぜひ身内の方から高齢者の方々へ防災を働きかけてみてください。