災害が起こるとガス・電気・水のライフラインが止まる可能性があります。
そんな状況でも自力で生きるために必要なのが「備蓄品」です。
この記事では、防災備蓄収納2級プランナーが防災グッズをどのくらい備えておけばよいのかわかりやすく解説します。
命を守るため、生き抜くために自力の備蓄が必要です。避難所の支援頼みになってはいけません
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防災グッズの備え方は3段階
まず、災害の対策グッズには、次の3つの段階の備えがあります。
・1次の備え・・・非常時に持ち出す最低限の防災グッズ(約1日分)
・2次の備え・・・災害が長期化した際の備蓄グッズ(3日〜7日分程度)
備蓄品は災害が長期化したことを想定して備える「2次の備え」にあたります。
最低限3日分をとのことですが、東日本大震災では3日経っても支援物資が届かない地域や学校もあったほどです。
一度に備えるのは難しいですが、徐々に増やして1週間分を乗り切れる備蓄をしましょう。
自宅避難に必要な備蓄品リスト
防災に必要な備蓄品の種類は簡単に4つに分けられます。
・停電対策
・断水対策
・家庭に応じて必要なもの
保存水
備える場所 | 備える量 |
各部屋 | 1人1日3L×3〜7日分 |
東日本大震災では、仙台市だけでも半数の過程で断水が起こり、全面復旧まで18日間かかりました。(参照:仙台市水道復旧の記録)
平均的に、被害を受けた水道が9割復旧するのにおよそ1カ月近くはかかるので、実はこれでも復旧が早かったほうです。
災害が起こると、真っ先に売り切れるのが水なので自力で生きるための水を確保しておかなければなりません。
水の備蓄量としては、1日に人が必要な水の量は3Lがなので、最低でも1人9L、できれば21Lを備える必要があります。
また、通常のミネラルウォーターの賞味期限は長くても1年半程度です。
21Lを1年半ごとに入れ替える作業はとても手間と労力がかかるので、5年以上保管できる長期保存水をネットで購入しましょう。
「純天然アルカリ天然水7年保存」はミネラルウォーターの主流が加熱製造であるのに対して非加熱で製造されています。
採水の時点でキレイでないと非加熱製造は不可能なのでとてもキレイで安全なお水なのです。
部屋に閉じ込められたことを考えて分散収納がおすすめです。
非常食
備える場所 | 備える量 |
キッチンの棚や収納。各部屋にも分散 | 1人1日3食×3日分〜7日分 |
非常食を備えるポイントは2つあります。
・ガスを電気を使わずに食べられるもの
食べ慣れていて、自分が美味しく食べられるもの
普段の味を備えることは、被災時のストレスを緩和するとても重要な意味を持ちます。
ここで役に立つ備蓄方法が「ローリングストック」と呼ばれる備え方です。
普段から食べている食品や日用品を少しだけ多めにストックしておき、災害時にも食べられるようにしておく備え方です。
なくなったら買いに行くというのではなく、1つでも食べたり使ったりしたらすぐに買い足して常に一定の量を保管されている状態にすることがポイントです。普段使いのレトルト食品や缶詰、乾物など常温保管できるものがローリングストックに適しています。
自分が美味しいと思えて、疲れている時に食べたくなるようなものをローリングストックで備えておくといざという場合も普段に近い味で安心できます。
ガスや電気を使わずに食べられる非常食も
すべてをローリングストックでカバーするのは難しいので、ライフラインが途絶えても美味しく食べられるアルファ米やパンの缶詰といった長期非常食も併用していきましょう。
長期非常食を備える際のポイントも自分が美味しく食べられることです。
もしそなでも、おすすめのおいしい非常食をご紹介していますが、人によって好みは異なるので非常食は必ずご自身で一度食べてください。
災害時はただでさえ心と体が疲弊しているため、これなら食べたい!と思える食欲が湧く非常食を備えましょう。
多くの非常食をバランスよく試せられるという意味でも、非常食のまとめ買いセットはお得に備えられます。
わが家では『サイボウの非常食セット』を購入しましたが、おいしい非常食が選ばれているなと感じています。
各部屋に備えたい非常食ですが、子供部屋には子供が自力で食べられる非常食を保管しておきましょう。ゼリー飲料もおすすめです。
非常用トイレ
備える場所 | 備える量 |
トイレの棚や収納。各部屋にも分散 | 1人1日5回×3日分〜7日分 |
水・食料の次に大事な備蓄品が「非常用トイレ」です。
トイレの備えはお風呂の水をためておけば大丈夫。という方もいるのですが、そもそも水をためる前に断水する可能性や、トイレ自体が使えなくなる危険性があります。
1家族に1つは便座+防臭袋+凝固剤がセットになっている『簡易トイレ』を備えておき、消耗品の防臭袋と凝固剤は予備を備えましょう。
防臭袋と凝固剤は、仮に4人家族で3日分としても60枚必要です。
中でも、おむつの防臭袋で有名なBOSから出ている『BOS非常用トイレ』は防臭性に優れているため、排世物のニオイのストレスを感じずに済みます。
非常用トイレも、少量で良いので各部屋にも分散収納しておきましょう
カセットコンロ・カセットボンベ
備える場所 | 備える量 |
リビング収納といった火の気のないところ | コンロ1台・ガスボンベ3本〜 |
カセットコンロは、ガスや電気が止まった際の貴重な調理器具です。
夏冬関係なく、温かい料理が食べられることは生きる活力となります。
定番の『イワタニのカセットガスコンロ』は高さがわずか7.4cmと薄型で収納にも困らないのが特徴です。
ここで迷うのがカセットボンベを備える本数ですが、ガスコンロの機能性や1日に使う時間によって変わるので何本と言い切れません。
しかし、おおよそですがガスボンベ1本で強火で1時間程使用できますので、1回20分の調理だとしたら1日に1本程度使用する可能性が高いです。
最低ラインとして3本〜できれば7本以上を備えましょう。
ガスボンベの使用期限は製造から7年程なので期限確認を忘れずに
ランタン
備える場所 | 備える量 |
寝室やリビング | 1つ〜 |
持ち出しリュックにも1人1台入っているランタンですが、リュックから出さずに停電時にすぐに家でも使えるように備蓄をしておく必要があります。
特に夜間の災害の場合は真っ暗な中移動をする必要があるため、枕元にランタンを1つ備えておくと安全に避難ができます。
コールマンの『クアッドマルチパネルランタン』はパネルが4分割するので1つ備えるだけで1人ずつ懐中電灯代わりに持ち歩けますし、スマホの充電機能もある優れものです。
乾電池
備える場所 | 備える量 |
各防災グッズと一緒に | グッズによる |
ランタンやヘッドライト、乾電池式充電器、ラジオなど乾電池を使う防災グッズは多くあります。
これらの防災グッズは充電式と違い乾電池がある限り使用できるのでどのグッズでどの種類の乾電池が必要か把握し、多めに備えておきましょう。
防災グッズに限らず、電池を使う日用品や子供の音がなるおもちゃも予備の電池を備えたいところです。
わが家では普段のローリングストック+長寿命の防災用電池を持ち出しリュックにいれて備えています
充電器(ポータブル電源)
備える場所 | 備える量 |
リビングなどの収納 | 1つ |
普段から持ち歩く防災ポーチや、持ち出しの防災リュック中には簡単に持ち運べるモバイルバッテリーや乾電池式充電器を備えておきますが、停電が長期化した場合には充電がなくなるリスクが高いです。
近年の台風でも停電が長期化するケースが相次いでいるので、アウトドアでも使える小型蓄電池(ポータブル電源)を購入する家庭が増えてきています。
中でもおすすめなのがアメリカの大手メーカーJackery(ジャクリ)の『ポータブル電源』です。
大手で実績が豊富な上、日本語のカスタマーサポートもついています。
車中泊の際にも大活躍する防災グッズです
防災ラジオ
備える場所 | 備える量 |
防災リュックの中 | 1つ |
ライフラインが途絶えると最後の情報源がラジオです。
災害時にはさまざまな情報が耳に入りますので、正しい情報を得るためにも防災ラジオは欠かせません。
多機能な防災ラジオを備えておけば、ライトや緊急時のホイッスルの代わりとしても使用できます。
ラジオを選ぶ際にはワイドFM(FMでAMも聞けるという大事な機能)があることが鉄則です。
手回しで充電する機能は正直あてになりません。充電に必要なグッズは別で補いましょう
ウォーターバッグ(ウォータータンク)
備える場所 | 備える量 |
防災リュックの中 | 1人 10Lバッグ×1 |
ウォーターバッグは給水車から水を持ち帰るのに必須な防災グッズです。
10Lであれば3日分の水がひとまず確保できるので安心ですが、女性で力のない方は10Lは厳しいですよね。
心配だなという方は5Lといった少量タイプを2つ用意しておくと小分けに運べて安心です。
私も防災セットにあったものが6Lなのでもう1つ備えています
ドライシャンプー
備える場所 | 備える量 |
持ち出しリュックの中 | 1つ |
断水して、とても困るのがお風呂に入れないことです。
当然頭ですがを洗うこともできません。
特に髪の長い女性は、髪が洗えないとベタベタしてとても不快ですよね。
ドライシャンプーは水がなくても頭を洗えてスッキリできるので、1家庭に1つは必須な防災グッズです。
大手資生堂の『水のいらないシャンプー』はトップメーカーの防災セットの中身にも採用されています。
からだ拭きシート
備える場所 | 備える量 |
持ち出しリュックの中 | 1パック |
ドライシャンプーと同様に、断水してお風呂に入れなくなった場合を想定して備える防災グッズです。
特に子供や肌が敏感な方はノンアルコールタイプのからだふきシートを備えましょう。
歯みがきシート
備える場所 | 備える量 |
防災リュックの中 | 1パック |
断水中に貴重な保存水で歯磨きをするわけにもいかないので、口をゆすぐ必要のない歯みがきシートがおすすめです。
口は肺への入り口なので、口の中のケアを怠ると大きな病気につながる可能性もあります。
歯磨きシート以外だと、マウスウォッシュも水を使わずに歯磨きができるのでおすすめですよ。
トイレットペーパー・ティッシュペーパー
備える場所 | 備える量 |
トイレの棚やリビング収納 | 1パック〜 |
持ち出しリュックにも1ロール入れておきたいトイレットペーパーですが、備蓄品も忘れないようにしましょう。
トイレットペーパーの備蓄量は各家庭によって異なります。
一度、1ロールを何日で消費するかを数えてみると、1パック(12ロール)で自分の家庭がどのくらいの期間を過ごせるのかが明確になります。
ギリギリまで使ってしまいローリングストックが難しいという方には、紙が劣化しにくい『備蓄用トイレットペーパー』という商品もあるので、日常のトイレットペーパーと万が一の場合に使うトイレットペーパーを分けておくのも1つの方法です。
ティッシュペーパーは持ち出しリュックには荷物を軽くするためにも不要としていますが、自宅では余分に備えておきましょう。
トイレットペーパーと同様に、何日で1パックを使うか数えてみてください。
薬
備える場所 | 備える量 |
防災リュックの中 | 7日分 |
災害時には薬が手に入りにくくなることが想定されるため、常用している薬がある方にとっては本当に命に関わる問題になりかねません。
持ち出し用のリュックにはもちろん、最低でも1週間は薬が手に入らなくても安心できるように必ず備蓄をしましょう。
お薬手帳も一緒に持ち出せるようにしておくと、第三者に正確にお薬の情報を伝えられます。
赤ちゃん(乳幼児)の追加備蓄品リスト
災害時には赤ちゃん用品は真っ先に店頭からなくなります。
赤ちゃんが不快な思いをしないためにも、乳幼児がいる家庭では赤ちゃんグッズを必ず多めに備蓄しましょう。
ネットで安くまとめ買いして備えておくとよいですね。
液体ミルク・使い捨て哺乳瓶
ライフラインが途絶えると粉ミルクを作ったり哺乳瓶を洗うことが難しくなります。
できれば液体ミルクや使い捨て哺乳瓶に赤ちゃんを慣らして、いざという場合にもストレスなく使えるようにしておきましょう。
明治ほほえみらくらくミルクならミルクに直接乳首を取り付けられるので哺乳瓶いらずです。
ベビーフード・ベビードリンク(離乳食)
同様に、ベビーフードも避難所では月齢にあったものが手に入りにくくなります。
月齢にあった離乳食やドリンクを1週間分備えましょう。
おむつ・おしりふき
おむつやおしりふきも災害時にはなくなりがちです。
おむつに関してはサイズアップもあるので成長に合わせながら買い替えていきましょう。
ふるさと納税で備えるのも1つの方法です。
わが家ではおよそ1カ月分にあたる常に3パックを常備しています。
高齢者の追加備蓄品リスト
高齢者がいる家庭でも健康状態に合わせた備蓄品が必要です。
食べ物や排世の問題など、個人に必要な物を備えましょう。
おかゆ
高齢者の場合は通常の非常食だと飲み込みにくい場合があります。
体の弱い方でも手軽に栄養補給ができるように、おかゆや介護食といった食べやすいものを備えておくことが大切です。
紙パンツや大人用おむつ
排世の問題も明確にしておかなくてはいけません。
自力でトイレが難しい方には、汚れても捨てられる紙パンツや大人用おむつを備えましょう。
備蓄品リストは持ち出し品リストと兼用できる
最低限これだけは備えたい備蓄品リストをご紹介しましたが、保管場所が防災リュックの中となっている防災グッズも少なくありません。
備蓄品としてだけで備えると物が溢れかえってしまい、何がどこにあるのかわからなくなってしまいます。
防災リュックに入れられるものを取り入れながら、いざという場合に自力で生きられる量の備蓄を心がけてください。
\防災の備えの基本はこの3つ/